エプソン トナーのようなもっとも一般的な蒸発乾燥型のスクリーンインキは、グラビアインキやフレキソインキと同様、顔料、樹脂、溶剤および添加剤から成り立っています。
(A)顔料
スクリーンインキ用の顔料は、一般のインキに用いられている顔料のなかから、使用目的にしたがって選択され、使用されます。
たとえば、ジスアゾイエロー、ブリリアントカーミン6B、フタロシアニンブルーの3原色をはじめ、酸化チタン、カーボンブラック、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウムなどの無機顔料のほか・・・
高度の耐性が要求される場合には、黄色では縮合アゾイエロー、イソインドリノンイエロー、赤ではキナクリドンレッド、縮合アゾレッド、紫ではジオキサジンバイオレット、緑ではフタロシアニングリーン、茶色ではべんがら、ベンズイミダゾロンブラウンなどの高級顔料または無機顔料が使われています。
また蛍光印刷には昼光蛍光顔料が使われます。
(B)樹脂
スクリーン印刷の対象となる被印刷材は、すこぶる多岐にわたり、それらに対する密着性や使用目的を考慮に入れて、顔料固着剤としての各種の樹脂が選ばれ、またその樹脂に対応したインキ処方と乾燥方法が採用されています。
(C)溶剤
スクリーンインキ用の溶剤には、中沸点溶剤(沸点:約120~230℃)がおもに使われています。
溶解力、希釈力、溶液粘度、蒸発速度(揮発性)か印刷条件、乾燥条件、安全性、臭気、価格など、多くの要素を考慮にいれて最適の溶剤が選ばれます。
(D)添加剤
印刷適性の付与、皮膜物性の改善、その他の目的で、ゲル化剤、チキソトロピー付与剤、増粘剤、酸化防止剤(皮張り防止剤)、ドライヤ、架橋剤(橋かけ剤)、硬化剤、消泡剤、分散剤、つや消し剤、紫外線吸収剤などが、必要に応じてスクリーンインキに添加されます。
平版インキやグラビアインキに比べれば、スクリーンインキの需要は数量においても金額においてもわずかではありますが、その種類においては、トナーカートリッジやグラビアインキとともにきわめて多いです。
いろいろの視点からスクリーンインキの名称を眺めると、スクリーンインキの多様性をうかがい知ることができます。
〈乾燥形式〉
蒸発乾燥型、浸透乾燥型、コールドセツト型、ゲル化乾燥型・酸化重合型・1液反応型、2液反応型、紫外線硬化型(UV)など。
〈成分〉
有機溶剤型、油性、水性、エマルション、プラスチゾル、マイクロカプセルなど。
〈被印刷体〉
紙用、プラスチック用(塩ビ用、ポリオレフィン用ほか)、繊維用(捺染用)、金属用、ゴム用、皮革用、ガラス用、陶磁器用、木材用など。
〈用途〉
ポスター用、点字用、壁紙用、ステッカー用など。
〈色および光沢〉
黄、墨、金、蛍光、グロス、セミグロス、マット。
〈耐性〉
耐光性、耐熱性、耐薬品性、耐摩擦性など。
〈特殊機能〉
レジスト(エッチングレジスト、メッキレジスト、ソルダーレジスト)、導電性、磁性、発泡、転写、示温(感熱)、蓄光(発光、夜光)、再帰反射、芳香(香料)など。
スクリーン印刷は、前回述べたような長所が発揮できる分野の商業印刷、生活用品への印刷、工業印刷などにさかんに利用されています。
いまやエプソン トナーに匹敵する勢いですよね。
その被印刷材は紙プラスチック、繊維、金属、窯業製品、木製品、ゴム、皮革など、きわめて広範囲に及んでいます。
紙:ポスター、ディスプレイ、POP、ステッカー、立看板、段ボール、紙器、グリーティングカード、千代紙、版画、壁紙、ふすま紙、転写紙など。
プラスチック:看板、標識、パネル、ラベル、ステッカー、コンテナー、容器、不織布、ビニール壁紙、ビニールレザー、建材、おもちゃ、浮袋、装身具、計器、ダイヤル、プリント基板、ネームプレート、キーボードスイッチなど。
繊維:のれん、たれ幕、旗、テント、立看板、Tシャツ、トレーナー、フロック加工品、袋物、鯉のぼり、タオル、不織布など。
金属:看板、標識、パネル、容器、おもちゃ、計器、ダイヤル、プリント基板、ネームプレートなど。
窯業製品:陶磁器、ガラス製品、ほうろう製品、建材など。
木製品:看板、木箱、漆器、おもちゃ、家具など。
その他:ゴム製品、皮製品など。
今日は、スクリーン印刷の長所と短所について述べていきます。
まずは長所から・・・
1)トナーカートリッジを使用した印刷のように概して製版、印刷が簡便で、設備費も比較的安い。
2)厚盛りに印刷することができるので(インキの厚さ:約8~30μm)、鮮やかで迫力のある色彩表現ができ、また種々の特殊機能(例:耐薬品性、皮膜強度、発泡性)を付与するのに有利。
3)被印刷体の形状、大きさ、表面の粗密、材質、色などに比較的左右されることが少なく印刷ができ、幅広い適応性をもっている。
4)多品種少量生産に有利。
・・・では、次に短所を挙げていきます。
1)一般に画像の再現性、色再現性が劣る。
2)印刷速度が遅い。
3)印刷後のインキ乾燥に、手間と時間がかかり、場所を要す。
4)版の耐刷力が劣る。
5)溶剤型インキが使われるため、作業環境、大気汚染などの点で、適切な対策が必要となる。
段ボール用水性インキには、耐摩擦性と光沢がすぐれた高濃度、速乾性のインキが求められています。
そして、はっ水ライナー用インキの場合は転移性が、プレプリント用インキでは耐熱性が必要です。
水性インキで紙へ印刷後ポリエチレンとラミネートしたものは、牛乳、コーヒー、ジュースなどの飲料容器に用いられます。
そのほか紙用水性インキは、封筒、ビジネスフォーム、ふすま紙、壁紙、紙ナプキンなどの印刷に使用されます。
近ごろではエプソン トナーなどの水性インキでプラスチックへも印刷できるようになりましたね。
処理ポリエチレンフィルムの表刷り用のインキには耐摩擦性、接着性、光沢が要求されています。
ポリプロピレンその他のフィルムの裏刷り用インキにはラミネート適性が求められるのです。
では次に、スクリーン印刷についてのはなしをしましょう。
スクリーン印刷は、謄写印刷とともに孔版印刷に属しています。
経済成長による印刷需要の多様化に伴い、他の印刷方式では印刷効果や印刷物の機能の点で需要家に満足を与えることができない特殊分野において、近年目覚ましい発展を遂げてきました。
水性分散樹脂では、いわゆるアクリルエマルションと呼ばれているアクリル酸エステルの共重合樹脂、なかでもスチレンとの共重合樹脂がもっとも一般に水性インキに利用されています。
水性インキにはエチルアルコールまたはイソプロピルアルコールが加えられる場合が多いのです。
インキにアルコールを添加することにより、インキの表面張力を下げて被印刷体へのぬれを良くします。
また樹脂の溶解を助け、乾燥を速め、泡の発生を防ぐなどの効果があります。
そのほか添加剤としてワックス、消泡剤、可塑剤などが必要に応じてトナーカートリッジなどのインキに加えられます。
水性フレキソインキは、紙、板紙、プラスチック、アルミニウム箔などへ印刷されます。
その大部分は包装関係の用途に向けられています。
クラフト紙へ製袋インキで印刷したものは、セメントや飼料用の重袋や、スーパーマーケットで使われる角底袋などに向けられ、ロール紙へ印刷したものは一般包装用に使われています。
水溶化樹脂のなかではアルカリ可溶性樹脂がインキの固着剤として重要です。
分子構造中にカルボキシル基(-COOH)をもった水不溶性樹脂に、水溶化剤であるアンモニア水または有機アミンを加えてアルカリ性にすると、アンモニウム塩またはアミン塩が生成してイオン化します。
樹脂は水溶化されてコロイド溶液となります。
印刷後インキが乾燥すれば、アンモニウ.ム塩またはアミン塩は分解し、アンモニアまたは有機アミンが蒸発。
元の水不溶性樹脂に戻って、エプソン トナーで印刷したように耐水性のインキ皮膜が形成されます。
水性フレキソインキに用いられる水溶化樹脂には、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、スチレン・マレイン酸共重合樹脂などの高酸価樹脂があります。
水性分散樹脂とは、一般に酢ビエマルション、アクリルエマルション、合成ゴムラテックスと呼ばれているようなエマルションラテックスのことです。
分子量が10万以上というような高分子物質が水中に安定に懸濁・分散したものをいいます。
水性分散樹脂を用いた水性インキは、流動性、レベリング性、機上安定性、再溶解性、光沢などは他の水性樹脂からつくったインキよりも劣ります。
しかし、皮膜強度、耐摩擦性、耐アルカリ性、耐水性、耐溶剤性などの点ではすぐれているのです。
1973年ごろより、石油価格の高騰と、有機溶剤による大気汚染が社会問題となりました。
それに対応して溶剤型インキに代わる水性インキが注目されるようになりました。
・・・しかし、水性フレキソインキは製袋関係でかなり以前からさかんに使われてきており、べつに新しいインキとはいえませんが、これに用いる固着剤の進歩はいちじるしいですね。
水性フレキソインキの固着剤としては、以前はアラビアゴム、パルプ廃液、セラック、デキストリン、カゼインなどが用いられたことがありました。
しかし、現在ではアクリル系樹脂やマレイン酸樹脂などが使われるようになり、トナーカートリッジのインキの印刷適性、印刷効果、耐水性、耐摩擦性、接着性などが改善され、紙ばかりでなくプラスチックへも水性インキで印刷できるようになりました。
水性インキ用の水性樹脂を分類すると次の3つになります。
・水溶性樹脂
・水溶化樹脂(コロイダルディスパージョン、ヒドロゾル)
・水性分散樹脂(エマルションラテックス)
水溶性樹脂は、アラビアゴム、デキストリン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)のように、樹脂そのものが水溶性のものをいいます。
これよりつくったインキは耐水性が劣るため、水性インキの主原料とはなりえず、ただ流動性の調節や保護コロイドの目的で添加されることがあります。
インキの主溶剤はアルコールではありますが、エステル溶剤の含有量が多い方が印刷適性がよいです。
少なくとも20%以上のエステル溶剤を含む混合溶剤が使われます。
アクリル系インキは、アルミニウム箔、セロハン、ポリ塩化ビニールフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルムおよびPVDCコートフィルム、処理ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、アセテートフィルム、ナイロンフィルムなどの印刷に使用することができます。
フレキソインキは、かつてはアニリンインキといわれていたように、アルコール可溶のアニリン染料を着色材として使用しています。
このインキでエプソン トナーを使用したかのように紙に印刷し、ろう引きしたものはパンや菓子の包装用に使われてきました。
しかし、現在では需要が少ないですね。
俗にアニリン染料といわれているものは、アニリンを出発原料としてつくられるトリフェニルメタン系塩基性染料のことをいいます。
この染料はアルコールにも溶けるが水にもよく溶けるため、インキ化に際してタンニン酸またはフェノール樹脂のようなレーキ化剤を併用して耐水性を付与するようにしています。
染料型インキは、あざやかな透明色が特徴ですが、一般に耐光性は弱いのです。
染料インキの隠ぺい力を大きくしたり、顔料型インキの着色力を向上させるために、染料・顔料併用型インキを使うこともあります。
ポリアミド系インキは処理ポリエチレンフィルムおよび処理プロピレンフィルムの印刷にひろく用いられています。
そのほか、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)コートフィルム、ポリエステルフィルム、アセテートフィルム、ポリスチレンフィルムの印刷にも用いることができます。
ポリアミド系インキは耐熱性と耐油性が劣るのが欠点ですね。
インキ中のポリアミド樹脂の一部をニトロセルロースで置き換えることによって、これらの欠点をある程度改善することができますが、トナーカートリッジなどのインキの光沢は低下します。
ポリアミド系インキには、アルコールを主溶剤としたアルコール希釈型インキと、アルコールと脂肪族炭化水素溶剤のほぼ等量からなる混合溶剤を用いたコソルベント型インキとがあります。
炭化水素溶剤のインキへの添加は、インキのポリオレフィンフィルムへのぬれと接着性を改善します。
アクリル系インキは、耐摩擦性、密着性、透明性、耐油性、耐水性がすぐれ、乾燥皮膜は硬く、光沢はニトロセルロース系インキよりも劣るのです。
インキの固着剤としてアクリル樹脂単独で用いることもあり、またアクリル樹脂の一部をニトロセルロースに置き換えて用いることもあります。